無理強いせずに、患者さんのペースで向き合う

看護助手 山道 和成子

なぜ、看護助手になったのですか

姉の勧めで行った介護職の職業訓練で、医療ケアの講師を担当されている看護師さんに指導を受けている時に「カッコいい」と思いました。特別養護老人ホームだと看護師さんと一緒に働けることを知り、再婚を機にデイサービスを辞め家族の勧めもあり、介護の仕事にチャレンジしました。デイサービスや特別養護老人ホームでの経験を経て、半年前にこの病院で働くことになりました。まさか病院で働くことができるとは思っていなかったのですが、看護助手という仕事があることを知り、看護師さんと一緒に働くことができるという前向きな気持ちで転職することにしました。

看護助手として大切にしていることは何ですか

患者さんとしっかり向き合うことを大切にしています。例えば、患者さんで気持ちをうまく伝えられない人に対して、何を訴えられているのかということをできるだけ正しく理解するように努めています。病気をすると混乱することもあり、パニックになり、大声を出したりする方もいますが、「なぜ、この方はこういう行動をするのか」といったことを考え、無理強いせずに、その方のペースで向き合うことを心掛けています。快方に向かっていってほしいという気持ちを常に大切にしています。

この病院で働いてみてどうですか

看護助手にチャレンジしようと思ったところにつながりますが、特別養護老人ホームで働いているとき、いつももやもやした気持ちがあり、それを解決することができない毎日でした。仲間も忙しく業務にあたる毎日にやりがいをあまり感じなくなったのだと思います。日々転職を考えていた時に看護助手の仕事を知りチャレンジしてこの病院に来ました。今の職場は看護師さんも忙しい中、親切に教えてくださるのと、何より看護助手の先輩の方々が一生懸命に指導してくださるので、病院業務を知らない私でも相談しながら働くことができています。そのため今は仕事をどんどん覚えることができ、とても前向きな気持ちで働いています。

看護助手の仕事の魅力は何ですか

患者さんの個別性を重視しているので、いろいろな人と関わるというたくさんの変化の中で働くことができます。同じ人でも、体調や気分、時間帯によって変化します。常に新しい向き合い方を学び、その中で成長を実感できることが魅力です。また、医療チームの一員として仕事に携われることも喜びです。病気を治す過程にはたくさんの緊張感がありますが、患者さんが快方に向かう過程で、その役割の一翼を担えることも魅力です。今後も、役割をしっかり担えるように、積極的に仕事に取り組んでいきたいと思います。


患者さんと直接触れ合い、良くなってもらいたい

看護師 主任 藤本 遥梨

私は、直接関わった人に役に立てる仕事に就きたいと思い看護師という職業を選びました。大学時代は、期間限定の実習で、患者さん1名に対して看護をするので比較的ゆとりをもって取り組めましたが、看護師として働き出してからは、複数の患者さんに対しての日々のケアだけでなく、多重課題、知識と技術の習得、他職種との連携など一気にいろいろなことをしなければならなくなり、余裕を感じることのない毎日を過ごしていました。そんな状態であっても、患者さんと直接触れ合い、良くなってもらいたいと思ってしたことで成果につながるとやりがいを感じ、良い仕事に就いたと思えることが私の励みとなっていました。3年ほど経ち、看護師の仕事に少し慣れた頃に、この病院に転職しました。職場の雰囲気として時間管理がしっかりとしているので、無駄な残業をすることはありません。また、私は少し要領が悪いところがありますが、先輩たちがフォローし支えてくれるので、気持ちを楽にして患者さんに向き合うことができ、看護をすることが楽しくなりました。

患者さんに「忙しいのにごめんね」と気遣いさせないような配慮を忘れない看護をしたい

今、看護師として8年目を迎えましたが、私が看護をする上で大切にしていることは、患者さんに余計な緊張感を持たせないようにすることを心掛けています。入院生活は患者さんにとって違和感のある生活です。優しさを持ちながら接するのはもとより、患者さんが私たちに「忙しいのにごめんね」と気遣いさせることがないように、配慮を忘れない看護をしていきたいです。例えば、トイレ介助が必要な患者さんが何度もトイレに行くと、私たちにとても気を遣われます。トイレに行く回数を減らすために、水分を減らし脱水になったり、無理をして自分で行こうとして転倒しては本末転倒です。このようなことを感じさせない看護を心掛けています。この病院に来てよかったのは、他の看護師から学ぶことが増え、成長の機会が増えたことだと思います。たんの量が多く、睡眠時間が少なく、車椅子への移乗に重介助が必要な寝たきりの患者さんがいました。プライマリーの看護師の関わりからたくさんのことを学びました。特に、起きてもらう時間を増やすことで患者さんのたんの量が減り、睡眠時間が増え、車椅子への介助量が減るといった良くなるプロセスを目の当たりにできたことは私にとって大いに刺激になりました。

地域包括ケア病棟での経験を活かし、在宅療養で安心を支える訪問看護師を目指したい

現在、地域包括ケア病棟で勤務しており、入院患者さんが安全に、安心して自宅に帰るための準備をしています。患者さんが自宅に帰って必要なサービスは何か、安全に暮らすためにはどういうことが大切かといったことを念頭に置きながら看護をしています。患者さんの自宅での生活を理解する意味もあり、訪問看護の研修を受けました。入院していた時の様子とは全く違い、病気を抱えながらもイキイキとしている姿に衝撃を受けました。近い将来、訪問看護師にチャレンジしたい気持ちを抱くようになりました。退院前に病院が提供するサービスを理解していることもあり、病院から在宅へスムーズに引き継げる訪問看護師を目指し、患者さんに安心して自宅で療養してもらえる看護をしたいと思っています。実際には病気を抱えながらの生活なので患者さんも家族もたくさんの不安を抱えていると思います。それを支えていくためにも、私自身の看護力の向上を目指して知識と技術を貪欲に増やしていきたいと思います。そして、訪問看護をするために必要なシステムや具体的なサービスなどを理解するために勉強していきたいと思っています。

一人ひとりの患者さんに何が良いのかを考える

看護師 主任 西國 優子

私は、人と関わる仕事がしたいと考えていましたが、高校生の頃は具体的に職業をイメージすることができませんでした。母親から助言があり、看護師の道に進むことにしました。新人の頃は、未熟な状態なのでミスをすることも多々あり、しんどいことも辛いこともありました。しかし、患者さんと関わることで乗り切ることができていました。私は整形外科の病棟にいましたが、例えば骨折をした患者さんは、骨折をする前は問題なく過ごしてきた生活が一変します。私たち看護師は入院生活が始まり、手術、リハビリという過程の中で不安を抱えている患者さんの回復に関わっていきます。回復していく姿は私にとっても大きな励みになり、多少の辛いことは乗り越えることができました。思ったようにうまくいかない時も、患者さんが良くなる姿を浮かべながら、患者さんにとって、今、何が必要かと考えることで仕事が楽しくなりました。一人ひとりの患者さんは治療の段階も違いますし、個性も違います。一人ひとりの患者さんに対して何が良いのかを考えて、回復に寄り添っていけるのが看護師の仕事の魅力だと思います。

不安の中にいる患者さんに安心してもらうために、何をする時も声掛け一つ大切にしていきたい

私が看護をする上で大切にしていることは、患者さんに安心を感じてもらうことです。患者さんは皆さん不安の中にいるので、不安を取り除くことを第一に考えています。そのために、私は何をする時でも声掛けを大切にしています。布団を掛ける時、体の向きを変える時などちょっとした声掛けで患者さんの表情や言葉に安心感が感じられることが多々あります。また、私たちの仕事はとんでもなく忙しい時があります。そんな時も、患者さんに不安を感じさせてないように心掛けています。雑な行動を決してしない、しんどそうな表情を見せない、適当な言葉を掛けないなど、あくまでも患者さんに不安を感じさせないように配慮します。仕事をしているとミスをすることはあります。当然、落ち込みますし、滅入ります。しかし、ミスをした事実は変わらないので、何が良くなかったのかをしっかりと振り返ることにしています。患者さんの安心の提供を意識すると、反省も前向きな気持ちでできるので、自分にとっても成長機会になっていると思います。

一番つらい人の回復のプロセスを共に歩み、高度な知識を活かせるスペシャリストを目指したい

将来的には、何か一つでも良いので、「このことなら西國に聞けばいい」と言われるようなスペシャリストを目指したいです。これからの時代、認知症の方が増えて来ると言われています。認知症の方は、一般的には自分の気持ちが上手く言えない、同じことを繰り返すなどと言われています。なぜ、そうしているのかなどをもっと勉強したいと思います。気持ちを汲み取ることはとても難しいのでそういうコミュニケーションの取り方なども学びたいです。最近は、排泄にも大きな関心を持っています。看護研究をしているうちに興味を持つようになりました。経管栄養をしている患者さん、下痢になりやすい患者さん、お尻がかぶれて来る患者さんなど排泄の勉強をしている中でもそれらを防ぐための、あるいは軽減するためのテーマが様々にあります。現段階では、こんな風に私の中に問題意識の選択肢がたくさん顔を出して来ている状態です。将来何かのスペシャリストなることができれば、つらい人のそばにいて、家族ができないことを引き受けて、回復のプロセスを共に歩む姿勢を忘れず、そして得た高度な知識を患者さんの為に活かしていきたいと思います。


介護に訪れた訪問看護師に魅了され歯科衛生士から転身を決意

看護師 筧 恵子

私は大学を卒業後、歯科衛生士として歯科関連のメーカーで技術営業をしたり、クリニックで働いていました。大学生の頃から、父親が難病を発症し、家族である私たちは介護をすることになりました。父親は、コミュニケーションが取れない、食べるとむせる、吸引をしなければならない、動けないのでイライラするなど、家族が介護をする大変さを経験しました。その折に、訪問看護師さんとの出会いがありました。訪問看護師さんが来られるだけで、私たち家族はホッとしました。父親に対しても根拠をあげて納得できる説明をされ、私たちは本当に助かっていました。歯科衛生士としての仕事も楽しかったのですが、訪問看護師さんの姿を見て、口腔内だけでなく全身に関わる仕事、つまり看護師の仕事に魅力を感じました。この訪問看護師さんがされている、病気の方やその家族との関わり方にも魅力を感じました。歯科衛生士の視点やキャリアを活かしながら、看護師になってみたいと思い、この道に進むことにしました。

歯科衛生士のキャリアを活かして、患者さんのリハビリがスムーズに進むことを心掛けたい

私が看護をする上で大切にしていることは看護師である私が冷静で落ち着いている状態でいることです。病気をすると患者さんは自分がどうなっているのかがわからなくて、精神状態が混乱します。患者さんが安心できるように説明するためには、看護師が落ち着いていることが前提だと考えています。それと、特に意識しているのはリハビリをスムーズにしていくことです。例えば、入れ歯を使っている脳梗塞の患者さんを例に出すと、うまく食べることができない、かめない、のみ込めないなどの症状があります。入れ歯が合っていない状態でリハビリをしていると不具合が生じるので、リハビリが長引くことがあります。歯が揺れていたり、入れ歯が落ちていたりすると、早めに入れ歯の噛み合わせを修正して、リハビリが少しでもスムーズに進むようにしています。口腔ケアについては、看護師は毎日しているので歯科衛生士よりも慣れていると思いますが、口腔内の治療に関することは歯科衛生士のキャリアが生きているように思います。スタッフから口腔内のことについて相談を受けることが多いので、それは私のやりがいにもつながっています。

大学院で精神的ストレスが起こす口腔機能低下の研究をしつつ、看護を深めていきたい

この病院に就職したのは、脳神経外科の病態に関心があったこと、就職希望のメール連絡をするとすぐに返信があり、私を応援してくれるという嬉しいメッセージを頂いたことが理由です。今、大学院で精神的ストレスがかかった人の口腔機能低下の研究をしています。ちょうど仕事が大変だった時に、飲み込みづらい、左顔面が動きづらく痺れる、話しづらいといった症状になった経験があります。それで、専門の病院に行き、医師に相談しましたが、「気のせいでしょう」という診断をされ、愕然としたことがありました。私は、仕事が大変な時に、同じような症状になる人、治療をしている人がたくさんいることに対して問題意識を持ち、この研究をすることにしました。このことに関する背景や結びつきを明らかにしていくことにまずチャレンジしていきたいと思います。合わせて、脳疾患の勉強もしていきます。口は、話す、食べる、呼吸をするといった重要な機能があります。機能低下が生じても、これらを正常に機能していくようにするにはどうしたら良いかということを目標に研究に励みつつ、看護を深め、日々の看護に活かしていきたいと考えています。


「自分の家族だったらどうするか」という視点で

看護師 師長 犬飼 友代

私は離島の出身で、職業の選択に関しては看護師か農業かという環境で育ちました。小学生の頃から自立したい思いがあり、看護師になろうと決めていました。アルバイトも看護助手の仕事をしており、ずっと医療の現場にいますが、看護師になって良かったと思っています。私が看護師として常に大切にしているのは、患者さんに対して自分の家族だったらどうするかといった視点で看護をすることです。表現は月並みになってしまうのですが、患者さんの笑顔を見ることができた時、とても嬉しく思います。ただ、この笑顔というのは、病気をしていない人の笑顔とは少し違います。例えば、重度後遺症がある患者さんは、初めは目が開きません。そこから、またしばらく時間が過ぎて、目が開くようになります。そして、そうした大変な時期を経て、少し笑顔がこぼれます。この瞬間に一緒にいることができるのが、また、患者さんだけでなくご家族と共に喜びを分かち合えるのが私は看護師の仕事の魅力だと思います。

一緒に考え、成長に繋がる指導をおこなう職場風土を受け継いでいきたい

この病院で働いて驚いたのは、あるスタッフが子どもの体調不良を理由に休むことが朝にわかった時のことでした。「えー!?」と不機嫌な空気になると思いきや、「そんなこともあるよね、みんなで頑張ろう」という言葉に、スタッフたちが誰一人嫌な顔をしなかったことです。中途入職者の発言も素直に受け入れる体制があり、それをみんなで一緒に考える風土には大変驚きました。現在、私は、師長という立場にいます、こういう風土を大切にし、みんながモノを言いやすい職場であり続けたいと努めるようにしています。私は、外見が怖いと言われ、人よりもきつく見えるようなので、笑顔でスタッフと接するようにしています。そして、最も意識しているのは、感情を乗せて指導しないということです。思いが通じずにイライラして叱ったとしても、叱られている本人は、叱っている人の顔色や表情を気にして、何を叱られているのかも理解できず、理解したふりをしてしまいます。それでは、成長に繋がりません。そして、叱られるのを恐れて大切なことを隠したり、言わなくなったりします。こういうことがないよう何が問題なのか、どうすればよいのかを一緒に考えて、成長に繋がる指導を心掛けています。

実習生には、当院のみんなが協力し合う風土の中で、イキイキと看護を学んでもらいたい

実は、これらは臨地指導者講習会に参加して学んだことがベースになっています。自分が正しいと思っているだけではいけないこと、なぜ、叱ってはいけないのかなどをその本質から学びました。今後は、実習に訪れる看護学生の育成にも活かしていきたいと思います。実習生も同様で、実習先の病院で叱られた時、叱られたことだけは鮮明に覚えているが、患者さんとの関わりについてよくわかっていないということがあるようです。私は、当院に根付くモノの言いやすい、みんなが協力し合う風土の中で、実習生たちにもイキイキと看護を学んでほしいと思っています。また、いずれは自分のスキルアップのために資格取得にもチャレンジしてみたいです。当院にも、認定看護師がいますが、当院にはいない異なる専門性を持ち、当院にとっての新たな強みになりたいからです。救急、集中ケア、感染症・・・様々な領域が考えられますが、いずれにしても、混乱の中にある患者さんやご家族をしっかりとケアできる看護師として成長していきたいと思います。


他界した祖母の言葉を心に

看護助手 主任 福本 圭一

なぜ、看護助手の仕事を始めるようになったのですか

私は以前、建築関係の仕事をしていました。ある日、末期癌で入院していた妻の祖母の見舞いに行った時、「あなたは介護や福祉の仕事が向いていると思うよ」といきなり祖母に言われました。1年後に他界した祖母の言葉が心にずっと残っており、妻に相談して20歳で転職しました。看護助手になって9年になります。最初2年は介護福祉施設で働き、この病院で看護助手になって7年になります。はじめは予想以上にしんどい仕事でした。しかし、高齢者の方に対して良い仕事をしているのではないかと実感することが多く、やりがいの方が大きかったと思います。昔は少々ヤンチャな時があったのですが、心のどこかで人に喜ばれることをやっていきたい、人のためになる仕事をしていきたいと思っていたと思います。

介護施設から病院に転職された理由は何ですか

初めに勤めたグループホームやディサービスでは、仕事を始めた頃と比べるとどんどん仕事に慣れて来ました。慣れてくるとどうしても楽になってきます。もっとしんどいところで仕事をしたいと危機感を感じたのがきっかけでした。20代の若いうちに苦労をしておかないといけないと考え、周りの人たちに聞くと病院の仕事は刺激が多いと聞いたので、チャレンジしてみようと思いました。患者さんに快適な環境を作るために、掃除をしたり、洗濯をしたりすることにも工夫を凝らしているので、家に帰って家事も手際よくでき、妻も喜んでくれて、家庭生活も円満です。

この病院で働くことについてどのように感じていますか

スタッフや上司の人たちの人柄がとても良く仲間に恵まれています。上司がしっかりと部下を見てくれており、自分達のことを考えてくれていることを実感できるのがこの病院の良いところだと思います。私は、投資の勉強が好きで、多少のフロー収入もありますが、お金で得られない楽しみがこの病院にはたくさんあります。患者さんにとって、病院は辛いところです。鬱になることもあれば、悲しいこともあります。楽しい病院なんてないのですが、安心・安全であり、少しでも患者さんの気持ちを軽くしたいのです。患者さんが「お兄ちゃんは?」とか「ゴリラは?」と言って自分を探してくれるのが嬉しいです。ちなみに、「ゴリラ」というのは、私の体が大きいので、患者さんが親しみを込めて呼んでくれる愛称です。私の名前も覚えてくれたり、安心だと言ってくれたりするとこの仕事をしていて良かったなと思えます。

今後の夢や目標は何でしょうか

介護福祉士や看護師の免許を取るということも選択肢として考えています。そもそもは、看護師になりたくて、病院に就職したというのもあります。しかし、最近は、逆に看護助手の立場でしかできないことを極めようかという気持ちも出てきました。私たちのような立ち位置でしか見えないこと、できないことがたくさんあり、それを自ら見つけて、患者さんに安心・安全を提供したいと思うのです。看護師を見ていると「カッコいいなあ」と思うし、看護師は看護師しかできない仕事もあります。もちろん医師は医師の、コメディカルにはコメディカルの、それぞれの仕事には役割があります。看護助手にも看護助手しかない役割があるのです。それを次々に見つけて、極めていきたいと思います。

知識の深まり、業務への理解がすすむことで患者さんの言葉が励みに

看護師 主任 藤本 典子

就職する前の私は、特に看護師になりたいというのでもなく、女性も職業に就き、しっかり働かないといけないという気持ちでした。祖父が入院したことがきっかけで、そこで目にした看護師さんの患者さんへの優しい振る舞いと、バリバリと働かれている姿からにじみ出るカッコよさに魅了され、看護師になろうと思いました。しかし、看護師になりたての私は、正直言って「しんどい仕事だなあ」という気持ちの毎日でした。覚えることが多い、業務も多いという状況で、仕事をこなすのが精一杯でした。先輩の指導においても、文章化が苦手な私は課題に対してレポートを書くのが一苦労でした。今、振り返れば、知識が足りないので、とても仕事が多いように感じていただけで、先輩とともに振り返り、時々のアドバイスにより、病態を理解し、知識も増え、業務の流れもわかるようになると看護師の仕事が楽しくなってきました。そして、患者さんから頂く「ありがとう」という言葉も次第に増えてきて、励みができると益々楽しみが増えて来ました。

患者さんの不安軽減に役立っているのかを意識し、問題解決の架け橋的な役割も担いたい

私は今、外来・救急外来で働いています。私たちが患者さんと接するのは診察に来られた時のほんの数分です。しかし、病状が悪く、入退院を繰り返されている患者さんは、病院との関わりは長い期間に渡りますし、そういう患者さんがたくさんいらっしゃいます。私は、顔なじみの患者さんに対しては、生活背景や習慣、採血のこと、食事のこと、体調などについて少し確認すればわかるような関係でいることを心掛けています。例えば、薬が飲めていないことを聞けば、なぜ飲めていないのかを聞いたり、考えたりし、地域連携室に連絡をし、生活で困っていることなどの解決の架け橋的な役割も担っています。それらは、不安な気持ちの患者さんの多少なりとも安心に繋がると考えているからです。また、初めて来られた患者さんは、自分はどんな病気なのかもわからない、どれくらい重度かもわからない不安をお持ちです。検査をするにしてもいったい何を、何のためにするのかを一度の説明では理解できないこともよくある話です。患者さんの立場に立って、自分たちは患者さんの不安の軽減に役立っているのかどうかを常に意識し、表情などからタイミングを見てお声掛けをし、現状や検査の内容などを丁寧に説明するようにしています。

後輩たちの指導において、知識や技術が身につくことを一番大切にし、一緒に成長していきたい

私は、患者さんが来られたら、よりスムーズに、処置や手術が行えるようにしていきたいと日々意識しながら仕事をしていきたいと思っています。私自身もまだまだ勉強していくことがたくさんありますが、後輩や新人の指導にも力を入れていきたいと考えています。それは、チーム全体で看護の質が上がっていくことにより患者さんの不安を軽減できるからです。後輩たちが知識や技術がしっかり身につくことが一番大切なので、想いや考えを聴き、受け止めたうえで、私の意見や考えを言うように心掛けています。怒られても身につかなかったら意味はないですし、経験的に怖い想いしか残らず、何も身についていないことが多いと思っています。新人の頃を思い出し、レポートを提出してもらい、アドバイスするようにしています。あまり堅苦しいものではなく、私は、交換日記と思って、むしろ的確なアドバイスができるようにするためのコミュニケーションツールというように説明して、一緒に振り返るようにしています。私自身も一緒に成長していきたいというのが本音です。